ブチブチ映画ぶち転がし

映画の感想を書くブログです。新作と知名度が一定以下の旧作について書きます。

映画『キャッツ』感想・レビュー 奇怪の極み!!伝説の最低映画『死霊の盆踊り』への熱いリスペクト!!

キャッツ CATS

極上のエンターテインメントなのはガチ


怖すぎる予告

www.youtube.com

 

こんにちは、拘泥です。今日はキャッツについて書こうと思います。


要約

死霊の盆踊りの魂をまるまる受け継いだものすごく気持ち悪いキチガイ達の爆笑乱痴気騒ぎ

みどころ

  • 見た目が怖い
  • 最初から展開が意味わからなくて怖い
  • 何がしたいのか全くわからないのが怖い
  • キチガイばかり出てきて怖い
  • なんとも言えない間のキモさがザ・ぼんちの漫才で怖い
  • どうしてこんなものを作ったのかわからなくて怖い

こんな人におすすめ

  • ヤベえ映画が好き
  • 付き合う前のデートに
  • ゲラ
  • 全人類

評価

最高

 

 

雑感

メチャクチャに面白かったです。いや本当に半分以上爆笑してました。『死霊の盆踊り』ぐらいひどいといくつか言われてますが、とんでもない。「ぐらい」どころか「そのもの」ですよ。

絶対に外れるわけがない題材と潤沢な予算と最新技術で『死霊の盆踊り』を新たな解釈でリバイバルする圧倒的イカれムービーでした。見た目の奇っ怪さなんてすぐに慣れますが、構成のイカレ具合はそんなものではありません。上映中ずっと「え?え?」と「なんなの…?」とばっかり。

その上に歌とダンスはすごいから、なぜこんなヤバいことになったのか全くわからない、それがなおさら怖いのです。なぜこんな技術を持ちながらこんなバケモノを…いや〜面白かった。

トム・フーパーは名高き最低映画への狂気的愛を隠し続けて、売れる実力を見せ付けて周りを黙らせてから満を辞してこれを世に送り出したのではないでしょうか?更にIMDBのスコアで当のリスペクト元を下回るというオチまでついています。しかし2.8は流石に悪ノリが過ぎるかと。悪ノリでただ酷評してるだけの人が相当量いるのでは。例えば『プロジェクト・グリズリー』も最高の映画なのに、いつもクソ映画という風潮だけで消費されちゃってますからね。いやそもそも消費すらされてるか怪しいですが…まあとりあえず本家越え一応おめでとうと言っときます。

絶対アラジンのノリでカップルとかで観ないように気をつけてください。めちゃくちゃ怖いので吊り橋効果を狙って意中の人とのデートに使ってください。責任は取りません。

死霊の盆踊り デラックス版 [DVD]名高き最低映画。アフィもないけどそもそも誰も買わん

プロジェクト・グリズリー  [レンタル落ち] [DVD]神映画です。たとえアルバトロスでも。

 

 

 以下ネタバレあり(とはいってもストーリーなんてどうだって良い)

  

さて、どの点で『死霊の盆踊り』を受け継いでいるのかといいますと、本編の殆どがどうでもいいキャラクターを延々曲と踊りで紹介するところは正にだし、曲がめちゃくちゃに間延びしてて終わると思ったら延々終わらないのも正にだし、キャラクターとそれに当然付随する展開は終始キチガイとしか言えないのも正にだし、夜に始まり朝日に終わるのも正にです。

もちろんこのキャッツにおけるモブたちを延々紹介するのはある種の平等さというか、猫の世界の構成員を公平に伝えてるのですが、いかんせんそれのせいで主人公っぽい猫たちが何者なのか全くわかりません。これはいけません。主人公ヴィクトリアが、その導き手的なマンカストラップくんが、かわいいかっこいいという以外の情報が一切ない。なぜここに来たのか、何をしたいのかわからない。これがこの映画の「怖い」という部分を加速させていると思います。

 キモすぎるフレンズ

更にその紹介される猫一人一人がとてつもなくキモい。特に最初のやつ。まだビジュアルに慣れていないときに来るために、ゴキブリもネズミも猫も全部キモい。画面全てがキモいというとんでもない状態。

そんでこの猫ホントヤバい。いかなゴキブリとはいえ芸を仕込んで育てたペットを平然と噛みちぎるサイコっぷり。もう最初から怖すぎで爆笑です。

 

その後も、チンピラ、汚えデブ乞食、こそ泥、懐古ジジイ、心底モブの謎の鉄オタと、とても正気とは思えない超魅力的ラインナップ。「ああ歌終わった…ああ歌わないで、歌わないで、ああああ〜歌っちゃった…」の連続です。食べ物がちょくちょく出るのがまた汚え。それも爆笑です。モブ鉄のタップダンスは素敵でしたし、イアン・マッケランの悪魔だ〜とかいうベッタベタな良きジジイ感は最高でしたよ。

 

テレポート能力持ちで、シャブに漬けて全員洗脳するヤベー奴ぶりを見せるのに肝心のとこでクソちっちゃい悪の帝王マキャヴィティがまた最高です。普通にテイラー・スウィフトまで呼んで頑張って一番凄い趣向の歌とダンスをしてたのに長老の好みで頂点になれず(かわいそう)、今までの演者と一緒に長老も攫うのですが、見張りが浮浪者二人で余裕で脱出される計画性のなさが超グッド。オチもしょうもない。何してんだこいつは。

グリザベラという猫がこいつに人生を破壊されたんですが、マキャヴィティが雑魚すぎて、なんでこんなやつに人生破壊されたんだこいつ…って具合に同情が消えます。

 

狂気

長老を取り戻す下りも爆笑でした。完全にイカれきってる。結果オーライ過ぎるめちゃくちゃなキョロ充へのパワハラなんでこんな、怖い。無理とか言えないよあんな状況。何回やんだよそれ、そんで帰ってくんのかよ、しかもお前長老何だその登場。ツッコミが追いつきません。

 

最後がまた爆笑です。どんだけ爆笑するんだと思いますがするんですまとめのふざけた歌が最初の町で朝日とともに始まって終わるのかよ感がまず笑っちゃいますが、その中のなんとも言えない手持ち無沙汰なロングショットがマジで爆笑もんです。何ですかあの間の悪さ。4人入れる必要が何処にあったのか。終わると思ったら全然終わらないで延々喋ってくる長老と、その周りの人のどうしようもない手持ち無沙汰感。そして何よりマンカストラップの顔がやばすぎる。完全にイッちゃってます。ガンギマリです。人殺してます。でもたまに見せる笑顔が素敵。

 

そして完全にイカれた残虐なオチ

天上に行って救われるとか言いましたけど、傷ついた孤独な女の子に「もう独りで彷徨わないで」と言って仲間になった後に、その子を独り気球に乗っけて大気圏外にぶっ飛ばすっていう。酷すぎるだろ。堕天作戦って漫画のピロっていうめちゃ悪い人が同じことしてました。処刑で。もう大爆笑です。

↑とってもいい漫画です。

 

以上、めちゃくちゃ笑いまくって個人的には大好きですが、やってることは嘘偽りなく、全裸の知らねえ女を全裸と半裸と服着た知らねえ猫、夜の帝王の宴を舞踏会とやらとした『死霊の盆踊り』なので、評価って言われるとまあ高くやるのは到底無理ですね。しかし、「酷評」というのは少し違うかなと思います。こんなに面白いんだから。猫のことは嫌いになりました。是非ご覧ください。